カイワヲテツガクスル
2022年8月18日発売
定価:1,012円(税込み)
ISBN 978-4-334-04622-4
光文社新書
判型:新書判ソフト
会話を哲学するコミュニケーションとマニピュレーション
日常の会話のなかで、私たちは巧みにコミュニケーションをおこない、それによってさまざまなマニピュレーションを成功させようとしています。[中略]
会話のなかでのこうした企みは、何かしら不誠実なものだと思われることも多いように思います。そして、本書でものちに取り上げるように、本当に不誠実な場合もあるでしょう。
ただ、基本的な姿勢としては、私はこんなふうに互いに工夫を凝らして会話のなかで試行錯誤する人々の姿を愛おしく思っていて、そうした人々が織りなす会話という営みそのものが、その企みゆえに多様な面を持った魅力的な現象でもあると思っています。
(「第一章 コミュニケーションとマニピュレーション」より)
目次
はじめに
第一章 コミュニケーションとマニピュレーション
第二章 わかり切ったことをそれでも言う
第三章 間違っているとわかっていても
第四章 伝わらないからこそ言えること
第五章 すれ違うコミュニケーション
第六章 本心を潜ませる
第七章 操るための言葉
おわりに
本書で取り上げた作品
著者紹介
三木那由他(みきなゆた)
1985年、神奈川県生まれ。大阪大学大学院人文学研究科講師。京都大学大学院文学研究科博士課程指導認定退学。博士(文学)。著書に、『話し手の意味の心理性と公共性 コミュニケーションの哲学へ』『グライス 理性の哲学 コミュニケーションから形而上学まで』(ともに勁草書房)。共訳書に、ロバート・ブランダム『プラグマティズムはどこから来て、どこへ行くのか』上・下巻(勁草書房)。近著に、文芸誌「群像」の連載をまとめた『言葉の展望台』(講談社)。