ゲンダイシソウノパフォーマンス
2004年11月12日発売
定価:1,100円(税込み)
ISBN 978-4-334-03277-7
光文社新書
判型:新書判ソフト
現代思想のパフォーマンス
「部品の勉強はいいから、まず運転してごらん」
――現代思想最良のガイドマップ
本書は、これまでにない種類の本である。その目的は、現代思想の概説ではなく、現代思想をツールとして使いこなす技法を実演(パフォーマンス)することである。この一冊には、現代思想に貢献した六人の思想家について、案内編と解説編と実践編が含まれている。
彼らの思想の方法が、どのようにツールとして取り出され、利用されているのかを読み取りながら、この本を楽しんでいただきたい。(「まえがき」より)
〈本書で取り上げた思想家〉
I フェルディナン・ド・ソシュール
「現実」の意味を変えた言語学者/新しい言語観
【実践編】『不思議の国のアリス』を読む
II ロラン・バルト
コトバの主人はだれか/バルトの思想攻撃
【実践編】『エイリアン』を読む
III ミッシェル・フーコー
「現実」をつくる過去/「現実」への疑いのまなざし/系譜学という方法
【実践編】『カッコーの巣の上で』を読む
IV クロード・レヴィ=ストロース
二〇世紀の大論争
【実践編】『お早よう』のコミュニケーション
V ジャック・ラカン
難解だからこそラカンである
【実践編】『異邦人』
VI エドワード・サイード
サイードの問題提起
【実践編】『エム・バタフライ』を読む
◎「ツールとしての現代思想」の使い道
「部品の勉強はいいから、まず運転してごらん」と私は学生たちによく言う。
現に私は内燃機関がなぜ車を走らせるのかも、コンピュータがなぜ動くのかも知らない。
知らないけれども、(使っているうちに)それが「何をする」ための道具なのか、それがどのような「夢」に育まれた道具なのか、おのずから分かってくる。
それと同じことが学術についてもできるはずだ、というのが私たちの基本的な考え方である。すぐれた学術的方法はかならずそれが創始者の「夢」の刻印をとどめている。
だから、私たちは素直にこう問えばいいのである。
「ねえ、これ何する道具なの?」 (「あとがき」より)