わかったつもり読解力がつかない本当の原因
「わからない」ことよりも、
「わかったつもり」でいることの方がはるかに問題だ!
理解力・読解力を磨くための一冊
後から考えて不充分だというわかり方を、「わかったつもり」とこれから呼ぶことにします。この「わかったつもり」の状態は、ひとつの「わかった」状態ですから、「わからない部分が見つからない」という意味で安定しているのです。わからない場合には、すぐ探索にかかるのでしょうが、「わからない部分が見つからない」ので、その先を探索しようとしない場合がほとんどです。
「わかる」から「よりわかる」に到る過程における「読む」という行為の主たる障害は、「わかったつもり」です。「わかったつもり」が、そこから先の探索活動を妨害するからです。
(本文より一部改変して抜粋)
【「わかったつもり」のパターン】
□「間違った」わかったつもり
→部分の読みが不充分だったり、間違ったりしている
□「結果から」というわかったつもり
→文章の結末に強く影響される
□「最初から」というわかったつもり
→文脈・文章全体の雰囲気に惑わされる
□「いろいろ」というわかったつもり
→「ものごとにはいろいろある」という認識が、それ以上の探索を止めさせる.
目次
はじめに
第1章 「読み」が深まらないのはなぜか?
1.短い物語を読む
2.「わからない」と「わかる」と「よりわかる」
3.「わかったつもり」という困った状態
第2章 「読み」における文脈のはたらき
1.文脈がわからないと「わからない」
2.文脈による意味の引き出し
3.文脈の積極的活用
第3章 これが「わかったつもり」だ
1.「全体の雰囲気」という魔物(その1)
2.「全体の雰囲気」という魔物(その2)
3.「わかったつもり」の手強さ
第4章 さまざまな「わかったつもり」
1.「わかったつもり」を作り出す“犯人”たち
2.文脈の魔力
3.ステレオタイプのスキーマ
第5章 「わかったつもり」の壊し方
1.「わかったつもり」からの脱出
2.解釈の自由と制約
3.試験問題を解いてみる
4.まとめ
引用文献など