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新書|詳細

「ニート」って言うな!

ニートッテイウナ
2006年1月17日発売
定価:880円(税込み)
ISBN 978-4-334-03337-8
光文社新書
判型:新書判ソフト

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「ニート」って言うな!後藤和智/著 内藤朝雄/著 本田由紀/著

なぜこの誤った概念がかくも支配力を持つようになったのか

「ニート」とは、働かず、就学もせず、求職行動もとっていない若者を指す言葉で、日本では二〇〇四年頃より使われ始め、その急増が国を揺るがす危機のように叫ばれている。様々な機関が「ニート」の「人間性」を叩き直そうと「支援」の手を差し伸べており、多額の予算が動いている。このような状況下において、本書では、まず、日本での「ニート問題」の論じられ方に疑問を覚える本田由紀氏が、「ニート」という言葉自体の不適切さを量と質の両面から明らかにする。また、『いじめの社会理論』の著者である内藤朝雄氏は、「ニート」が大衆の憎悪と不安の標的とされていることを挙げ、憎悪のメカニズムと、「教育」的指導の持つ危険な欲望について解説する。さらに、ブログ上で「俗流若者論批判」を精力的に展開し注目を浴びている後藤和智氏が、「ニート」を巡る言説を詳しく検証する。

■「はじめに」より
「ニート」言説という靄(もや)が2000年代半ばの日本社会を覆い、視界を不透明にしている。この靄の中で日本社会は誤った方向に舵(かじ)を切ろうとしている。「ニート」言説は、1990年代半ば以降ほぼ10年間の長きにわたり悪化の一途をたどった若年雇用問題の咎(とが)を、労働需要側や日本の若年労働市場の特殊性にではなく若者自身とその家族に負わせ、若者に対する治療・矯正に問題解決の道を求めている。(中略)もう我々を惑わす「ニート」という言葉は使うべきではない。「ニート」って言うな!

目次

はじめに 本田由紀
第1部 「現実」……「ニート」論という奇妙な幻影 本田由紀

第1章 「ニート」のイメージは間違っている
第2章 若者に対して真に必要な支援は何か

第2部 「構造」……社会の憎悪のメカニズム 内藤朝雄

1 青少年ネガティヴ・キャンペーン
2 佐世保事件にみる諸問題
3 ニートをめぐる「祭り」の状況
4 大衆の憎悪……「投影同一化」による教育強迫
5 政治的利用の恐怖……市民社会に空いた穴
6 自由な社会とはいかなるものか

第3部 「言説」……「ニート」論を検証する 後藤和智

はじめに……思考を放棄する「俗流若者論」
1 「ニート」論前夜……「自立しない若者」への苛立ち
2 「ニート」論はいかにして広まったか
3 週刊誌における「ニート」
4 朝日新聞投書欄に見る年齢層別「ニート」観
5 書籍・月刊誌における「ニート」論……子育て・教育論を中心に
6 拡大する「ニート」論
最後に……「ニート」とは誰か

あとがき 内藤朝雄

著者紹介

著者:本田由紀(ほんだゆき)
一九六四年徳島県生まれ。東京大学大学院情報学環助教授。専門は教育社会学。日本労働研究機構研究員などを経て現職。著書に『若者と仕事』(東京大学出版会)、『多元化する「能力」と日本社会』(NTT出版)などがある。

内藤朝雄(ないとうあさお)
一九六二年東京都生まれ。明治大学専任講師。専門は社会学。東京大学大学院総合文化研究科博士課程を経て現職。著書に『いじめの社会理論』(柏書房)、共著に『学校が自由になる日』(雲母書房)などがある。

後藤和智(ごとうかずとも)
一九八四年岩手県生まれ。東北大学工学部建築学科在学中。平成十七・十八年仙台市成人式実行委員。ブログ上で青少年言説の検証に取り組んでいる。

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