セマリクル「ムスコカイゴ」ノジダイ
2014年2月18日発売
定価:968円(税込み)
ISBN 978-4-334-03785-7
光文社新書
判型:新書判ソフト
迫りくる「息子介護」の時代28人の現場から
「息子介護」とは、嫁でも娘でも妻でも夫でもなく、息子が親の介護をすること。まだ耳慣れない言葉だが、息子介護者は着々と増えている。少子化できょうだいの数が減り、非婚化で生涯配偶者をもたない人が増え、たとえ妻がいても妻は自分の親の介護で手いっぱい――やがて親類や会社、家の近所を見渡せば、あの男性もこの男性も「息子介護」をしている、という日が必ず来るのである。著者は1979年生まれの社会心理学者。28人の息子介護者からの聞き取りをもとに、彼らがどんな思いを抱きながら、周囲の人々と関わり、家事や介護をこなし、仕事との両立や折り合いをつけたりつけなかったりしているかを、丁寧に描き出す。「息子が介護」という異常事態!? を機に表出する男社会の息苦しさの「あるある」を浮き彫りにする、もうひとつの「男性学」になっている。解説・上野千鶴子。
目次
はじめに
第1章 息子介護の「いま」
――統計から見える傾向と、それだけではわからない経験
第2章 親の介護と、「妻」との関係
――嫁のいる息子が介護者になるとき
第3章 「きょうだいではなく、なぜ自分が……」
――介護責任をめぐる論理と応酬
第4章 「息子の看方」とその見方
――オトコであることの困難と希望
第5章 家族外のネットワーク
――家の外で息子が「介護者をする」こと
おわりに
解説 もうひとつの「男性学」――上野千鶴子
あとがき
著者紹介
平山亮(ひらやまりょう)
1979年神奈川県生まれ。東京大学文学部、同大学大学院人文社会系研究科修士課程を経て、オレゴン州立大学大学院博士課程修了。専門は社会老年学、社会心理学。東京都健康長寿医療センター研究所にて長寿科学振興財団リサーチレジデント(認知症対策総合研究推進事業)を務めたあと、現在、同研究所で日本学術振興会特別研究員として研究中。主要論文はJournal of Gerontology: Social Sciences、Journal of Family Theory & Review等に掲載。本書が日本語で初めての単著となる。
上野千鶴子(うえのちづこ)
1948年富山県生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。立命館大学特別招聘教授。NPO法人WAN理事長。女性学、ジェンダー研究、介護研究で活躍。