セイシンカンテイハナゼマチガエルノカ?
2017年12月14日発売
定価:836円(税込み)
ISBN 978-4-334-04325-4
光文社新書
判型:新書判ソフト
精神鑑定はなぜ間違えるのか?再考 昭和・平成の凶悪犯罪
精神医学はいまだに未熟な学問である。精神疾患を確実に診断することが可能な検査指標はほとんど存在しない。いわゆる「脳科学」は大きな進歩を遂げているように喧伝されているが、その技術を用いても、うつ病や統合失調症において脳のどの部分に異常が見られるのか明らかにすることは不可能なのである。したがって、法廷における「精神鑑定」に誤りが多いことも、ある意味当然なのだ。
さらに、「精神科医」自体の問題もある。精神鑑定を担当する精神科医のレベルはさまざまである。一流の精神科医もいれば、二流、三流、ときにはそれ以下の医者が鑑定を行っている現実がある。基本的な診断も理解していない精神鑑定書を見て、啞然とすることもまれではない。
目次
第一章 附属池田小事件
第二章 新宿・渋谷セレブ妻夫バラバラ殺人事件
第三章 池袋通り魔殺人事件
第四章 連続射殺魔・永山則夫事件
第五章 帝銀事件
著者紹介
岩波明(いわなみあきら)
1959年神奈川県生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医、医学博士。東京都立松沢病院をはじめ多くの医療機関で精神科臨床にたずさわる。東京大学医学部助教授を経て、独ヴュルツブルク大学精神科に留学。2012年より昭和大学医学部精神医学講座主任教授。15年より同大学附属烏山病院長を兼任、ADHD専門外来を担当。発達障害の臨床研究、統合失調症の認知機能障害、精神疾患と犯罪などを主な研究分野とする。著書に『狂気という隣人』『狂気の偽装』『心に狂いが生じるとき』(以上、新潮文庫)、『うつ病』(ちくま新書)、『発達障害』(文春新書)、『精神障害者をどう裁くか』(光文社新書)、共著に『思想の身体 狂の巻』(春秋社)、共訳書に『精神分析に別れを告げよう』(批評社)、『内因性精神病の分類』(医学書院)などがある。