ジガゾウノユクエ
2019年10月17日発売
定価:1,650円(税込み)
ISBN 978-4-334-04437-4
光文社新書
判型:新書判ソフト
自画像のゆくえ
だれもが感じているように、現代ほど「わたしがたり」にあふれかえった時代はこれまでになかった。世界的にその傾向にあるのかもしれないが、日本ではこの傾向がとくに顕著であるようにも思われる。(中略)本書は、私なりの想像力をつけくわえて試みた、自画像の歴史をめぐる、21世紀人のためのツアーである。ツアーは過去から順をおって、やがて20世紀へといたり、最後はふたたび私たちが生きているこの現代(=「自撮り/セルフィー」の時代)にもどってきたいと思う。 (「はじめに」より)
目次
はじめに
第1章 自画像のはじまり
――鏡の国の画家
第2章 カラヴァッジョ
――ナイフが絵筆に変わるとき
第3章 ベラスケス
――画家はなぜ絵のなかに登場したのか
第4章 レンブラント
――すべての「わたし」は演技である
第5章 フェルメール
――自画像を描かなかった画家について
第6章 ゴッホ
――ひとつの「わたし」をふたつの命が生きるとき
第7章 フリーダ・カーロ
――つながった眉毛のほんとうの意味
第8章 アンディ・ウォーホル
――「シンドレラ」と呼ばれた芸術家
第9章 さまよえるニッポンの自画像
――「わたし」の時代が青春であったとき
終 章 最後の自画像
あとがき
著者紹介
森村泰昌(もりむら・やすまさ)
1951年、大阪市生まれ。美術家。京都市立芸術大学美術学部卒業、同大学美術学部専攻科修了。85年、ゴッホの自画像に扮するセルフポートレイト写真『肖像・ゴッホ』を発表。以降、今日に至るまで、一貫して「自画像的作品」をテーマに作品をつくりつづける。国内外で多くの展覧会を開催。ヨコハマトリエンナーレ2014ではアーティスティック・ディレクターを務める。2016年、「森村泰昌:自画像の美術史――『私』と『わたし』が出会うとき」(国立国際美術館)を開催。18年、大阪北加賀屋に「モリムラ@ミュージアム」をオープン。著書に、『踏みはずす美術史』(講談社現代新書)、『美術、応答せよ!』(筑摩書房)など多数。11年、一連の芸術活動により紫綬褒章を受章。