アカトクロ ジョウ
2007年9月6日発売
定価:880円(税込み)
ISBN 978-4-334-75137-1
古典新訳文庫
判型:文庫判ソフト
赤と黒(上)
新しいジュリヤン・ソレルの誕生!
主人公の内的葛藤を鋭く描き出す画期的新訳
内容 フランス心理小説の最高峰
ナポレオン失脚後のフランス。貧しい家に育った青年ジュリヤン・ソレルは、立身のため僧職に身を投じる。やがて貴族であるレナール家の家庭教師となり、その美貌からレナール夫人に慕われるようになる。ジュリヤンは金持ちへの反発と野心から、夫人を誘惑をするのだが……。
貴族社会を憎み、溢れる野望を胸に秘め、同時に繊細な感受性から情熱的な愛をも知る。才知と美貌で激動の時代を駈けぬけた主人公の誇り高き精神を、新たな解釈で生き生きと描き出す!
目次
第一巻
第1章 小さな町
第2章 町長
第3章 貧者の幸福
第4章 父と子
第5章 交渉
第6章 退屈
第7章 親和力
第8章 ささやかな出来事
第9章 田舎の一夜
第10章 大きな心と小さな財産
第11章 ある晩
第12章 旅
第13章 透かし模様の靴下
第14章 イギリス製の鍬
第15章 鶏の鳴き声
第16章 翌日
第17章 首席助役
第18章 国王のヴェリエール訪問
第19章 物思えば心は苦しむ
第20章 匿名の手紙
第21章 主人との対話
第22章 一八三〇年におけるふるまい方
第23章 役人の憂鬱
第24章 首都
第25章 神学校
第26章 世間 あるいは金持ちに不足しているもの
第27章 人生最初の経験
第28章 聖体行列
第29章 最初の昇進
第30章 野心家
読書ガイド 野崎 歓
著者紹介
著者:スタンダール [1783-1842]
フランスの小説家。代々法曹家を生んだブルジョワの家庭に生まれる。7歳のとき熱愛していた母親を亡くす。その反動からか、王党派の父親に激しく反発し、自らは共和主義者となる。16歳のとき陸軍少尉に任官し、ナポレオンのイタリア遠征に参加。このときから生涯、イタリアを愛することになる。その後は官僚となり、多彩な女性遍歴など、派手な生活を送る。この間、『恋愛論』『赤と黒』などを書き上げる。1842年、脳出血で死去。
訳者:野崎歓
1959年生まれ。東京大学文学部准教授。フランス文学研究のほか、映画評論、文芸評論、エッセイなど幅広く手がけている。著書に『フランス小説の扉』『われわれはみな外国人である―翻訳文学という日本文学』ほか。訳書に『逃げる』(トゥーサン)、『ある秘密』(グランベール)、『幻滅』(バルザック、共訳)、『ちいさな王子』(サン=テグジュペリ)など多数。