オニスムトコロ
2020年3月25日発売
定価:1,980円(税込み)
ISBN 978-4-334-91337-3
フィクション、文芸
判型:四六判ソフト
鬼棲むところ
「鬼であり続けるのは、なかなかに骨が折れる」
鬼が出ると噂の安義橋(あぎのはし)を渡ることになった太郎暮房(たろうくれふさ)。恐る恐る橋を進むと、艶やかな髪と白い肌を持つ見目麗しい女が立っていた。女は太郎暮房を呼び止め、思いがけないことを口にする。(「安義橋秘聞」)
髪結いの夫婦に拾われ、幼いころから主人の性の相手をさせられていた早陀女(さだめ)。九つを過ぎたころ、剃刀を持ち、髪結いをするようになる。あるとき手が滑り、客の耳を傷つけてしまう。とっさに指に取った血を舐めると、得も言われぬ恍惚感に包まれ……(「血舐め茨木」)