トオノモノガタリ
2012年7月18日発売
定価:2,200円(税込み)
ISBN 978-4-334-92836-0
フィクション、文芸
判型:四六判ハード
遠乃物語
『遠野物語』成立前夜。美しくも恐ろしい、もう一つの「とおの」に迷う。
幻視を誘う、傑作伝奇長編!
明治三十九年。台湾原住民の査察を終え、
郷里に戻っていた人類学者・伊能嘉矩は、天ヶ森の熊野神社で、
マラリヤの発作を起こして倒れる。
目をさました彼は、介抱してくれた佐々木喜善とともに、「遠乃」という、
郷里とは似て非なる町に迷い込んでいることを知る。
違いはほとんどない。
しかし、ここでは、昔語りも言い伝えも存在しないようなのだ──
気をつけることだ。もし運よく帰れたとしても、ここのことは喋らんほうがいい。
考え抜かれた構成と抜群の筆力で、「物語ること」の根源に迫る傑作。